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FPにコンサルティング費用を払う価値

FPに相談したいと思ったときに、相談料や、コンサルティング費用がかかるFPに相談しますか?それともずっと無料で相談できるFPを選びますか?おそらくコンサルティング費用の価値がわからなかったら、無料を選ぶでしょう。では、その価値とは一体何なのでしょうか。

そもそもなぜ相談無料のFPと有料のFPがいるのか

コンサルティング費用の価値について理解を深めていただく前にまず無料FPと有料FPの違いについてお話したいと思います。

当然ですが、無料FPは非営利事業者、有料FPは営利事業者、というわけではありません。どちらも営利事業者です。では、どうして無料で相談できるのでしょうか。それは、金融商品もしくは不動産を自ら販売する前提だからです。無料相談なのにも関わらず、ライフプランの相談に親身にのってくれたり、税金社会保険のことについて知らないと損することをわかりやすく教えてくれたりすることでしょう。しかし、最後には必要か不必要かに関わらず、商品がおススメされます。FP都合の売りたいものが売られるわけです。

ではそれに対して相談料やコンサルティング費用がかかるFPはどうでしょうか。こちら側のFPは、お客様からいただく相談料、コンサルティング費用そのものが売り上げですので、その方のライフプランにとって金融商品や不動産が必要ないのであれば、いらない商品は提案されないことでしょう。つまり有料FPに相談すれば買う必要のないものは提案されないということです(相談料もかかり、いらない商品も提案されるケースもないとは言えませんが…)。

ここまでのお話をご理解いただいたらなんとなく、有料相談したほうがいいのではないかと思いませんか?これが相談料やコンサルティング費用の「価値」なのです。

ただこれで、有料FPに相談するのがベストだ、と結論付けてしまうのは実はまだ早いのです。

日本における金融商品や不動産の販売について

コンサルティング費用を払えば売り手都合ではなく顧客目線である、という単純な回答ではない理由をここからお伝えします。日本においては、金融商品を買う場合、その中に「お客様には見えない手数料」が発生しているケースがほとんどです。不動産も一部そうなっています。

例えば販売者に10万円の手数料が支払われる生命保険があったとしましょう。その商品が今日本で購入可能な最も相談者のニーズに合っている保険だとしましょう。有料FPがお客様から10万円のコンサルティング費用を受領し、この保険が最も良いとアドバイスだけして商品を販売しなかったとします。お客様は自宅最寄りの保険ショップでこの保険を改めて購入しました。

この場合、お客様はコンサルティング費用という「目に見える」費用10万円と、保険ショップに金融商品販売手数料という「目に見えない」費用10万円を二重に支払っているのです。

最初から無料FPである保険ショップに相談しに行ったら「目に見えない」10万円のみで済んだ可能性があります。

つまり何が言いたいかというと日本の金融商品に見えない手数料(コミッションといいます)が含まれている以上、必ずしもコンサルティング費用が正義とは言えないのです。日本以外の先進国ではコミッションの完全撤廃が行われている国が存在し、その状態であればコンサルティング費用は必然であると言えます。

とはいってもコミッションが存在する間であれば、無料FPが正義だとも決して思いません。
では、いったい何が正解なのでしょうか。

大切なのは、コンサルティング内容に価値があったかどうか

無料FPに相談して、見えない手数料がかかったとしても、コンサルティング費用をFPに直接払ったとしても、それは実はどちらでも良くて、大切なのは、その払った費用に対して価値がどの程度あったかだと思うのです。

ただの薄っぺらなモノ売りではなく、深くお客様の家族に寄り添い、家計の本質的な課題は何なのかを追求し、その課題解決としての手段を過不足なくお客様に届けられている、つまりレベルの高いコンサルティングという価値がお客様からいただいた手数料以上に提供できているのであれば、それがコミッションであろうと、コンサルティング費用であろうと、はたまたその両方であろうと、問題ないと思うのです。

よくFP業界で同業同士、コミッションか、コンサルティング費用のどちらが正義なのか、という議論が行われます。それが派閥のようなものを生み出している気さえするのですが、そんなことを議論するよりかは、いかにクライアントからいただく利潤を適正な範囲にとどめ、クライアントの利益を最大化させるかの議論をしたほうがよっぽど建設的だと思うのです。

お客様は今後どうFPを選んでいくべきか

お客様はコンサルティング費用について高いのか安いのか、そこに大きな価値があるのか否かについて判断が難しいと思います。しかも商品販売時の「見えない」手数料に関しても知る由もないでしょう。ではお客様は今後どうやって価値のあるコンサルティングを見抜いていけばいいのでしょうか。

その答えは少し抽象的ですがそのFPがなぜその仕事をしているのか、どう社会やお客様に貢献していきたいのか、という職業観を聞くのがいいと思います。提供される金融商品や不動産の良し悪しよりも金融機関でもなく不動産会社でもなくあえてFPを選んで頑張っている担当者の熱い思いを聞いてみてください。その考え方に共感できたならきっとそのFPは無料FP、有料FPを問わず、費用を払うことに対して大きな価値を届けてくれることでしょう。

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保険営業とファイナンシャルプランナーの3つの違い

日本においてファイナンシャルプランナーというと、生命保険の営業さんをイメージされる方が多いのではないでしょうか。実はこの二つは似ているようで全く違う職業です。ここでは保険営業とFPの明確な違いについてお伝えできればと思います。
[box03 title=”こんな人に読んで欲しい”]・1社専属の保険営業マン
・保険FPを卒業したい人
・独立系FPに興味がある人[/box03]

1.明確な違いはその収益構造にあり!

保険営業とファイナンシャルプランナー(以下FP)との違いは様々ありますが、最初にその収益モデルの違いからお話していきましょう。

保険営業は言うまでもありませんが、保険を販売することで保険会社から販売手数料を受け取るという形で収益を得ています。それでは、FPはどうやって収益を挙げているのでしょうか。
答えをシンプルにすると「FPの6分野すべてにおいて収益が上げられる」ということなのです。
ちなみにここでの6分野とは、ライフプランニング、リスク管理、金融資産運用、不動産、相続事業承継です。

FPによって様々なスタイルがありますが、例えばお客様の家計管理、ライフプランニングをしてお客様から直接フィーをいただいたり、初めて自宅を買う方などに不動産購入のアドバイスをしたり、資産運用の計画と実行のお手伝いをしたり、賢い保険の入り方をアドバイスしたりします。

それぞれFPによって得意分野は異なるのですが、基本的にFPを名乗る以上、6分野すべてにおいてプロとしてお客様に価値を届け、売り上げを上げられるようでなければなりません。

そのように、6分野すべてが仕事になり得るFPと、仕事は保険のみ、という保険営業では大きな違いがあります。ただし6分野を守備範囲にするFPにはメリットとデメリットがあります。

メリットは、様々な分野で収益源があるので、お客様に保険を絶対売らなくてはならない、というプレッシャーが生まれないことでしょう。

デメリットは保険専業にならないことで、規模の経済が働かず、専業の方より収益力が低かったりします。また守備範囲が広いため、覚えないといけないことが山ほどあり、追及するとキリがありません。

2.FPはライフプランに基づいた保険提案をする

これはすべての保険営業がそうとは思いませんが、多くの場合、保険営業は保険提案の際、お客様の中長期的なライフプランではなく、「今」支払える金額しか考えません。

例えば、とある実際にあったケースですが、今10万円を毎月貯められる家庭があったとします。そのご家庭は今後10年後に教育費のピークが訪れて、5年以内には頭金を貯めて住宅購入をしたいと考えていたとします。保険営業はこの家庭に、毎月9万円の、しかも老後まで払い続けなければならない積み立て型の保険を勧めました。金融知識があまりないそのお客様はこの保険に加入してしまったのです。詳しい方ならご存じかもしれませんが、保険による貯蓄は、5年、10年など早期に解約をしてしまうと大きなペナルティーがあり、損失を出してしまうケースがほとんどなのです。この話を聞いてどうお感じになったでしょうか。

もしこの家庭がライフプランをベースに考えるFPに相談したらどうなっていたでしょうか。
FPは中長期的に現金がしっかり確保できるかを分析するため、貯蓄型の保険を仮に提案するにしても家庭の貯蓄可能額に対して占める割合はかなり限定的になるはずです。

3.日本におけるFPの歴史は30年、保険営業は戦前から

FPの最大の課題といってもいいかも知れませんが、歴史が浅く、認知度が低いのです。保険の営業マンだと言えばお年寄りから小学生までどんな仕事なのかだいたい想像できるのですが、FPをやっていますと言ってその仕事内容がパッと頭に浮かぶ方はどれほどいるでしょうか。少なくとも筆者の友人知人には事細かに補足説明をしないとその仕事について理解されません。同業者以外で、何も言わなくても理解されたケースが一度たりともないのです。

認知度の低さは世の中を見渡しても明らかです。保険屋さんは大型スーパーの中だったり、街中だったりによく見かけるでしょう。しかし、FP事務所と大きな看板を掲げたお店を見たことがあるでしょうか。きっとほとんどの方が一度も見たことがないでしょう。FPという職業が「何屋さん」なのかがもっと世間に浸透しないと保険屋さんのようなお店の構え方は難しいでしょう。

つまりここで何が言いたかったかというと、保険営業より、FPのほうがお客様に価値を届けるまでのマーケティングというプロセスが難しいということなのです。

FPサービス3万円です、と広告を出してもきっと売れないでしょう。世間に浸透していない今の日本の状態ではまず、お客様に席についてもらって、じっくりとFPについて説明する必要があるでしょう。そのために本題の手前にもっと分かりやすい別の分かりやすい商品を置かなくてはならないのです。

今はこのように認知度が低いFPですが、いずれアメリカのように、良き弁護士、医者、FPを友に持ちなさいと言われるような世界になればとFPとして感じます。

4.さいごに

何かの分野に偏って専業になったほうが儲かるし分かりやすい、というのが一般論です。ところがFPはそれではお客様のライフプランが守れない、ということであえてその一般論に逆行する形をとっています。自分が売りたいものではなく、お客様にとって本当に必要なものは何かを追求し、価値を提供していくことがFPの存在意義だと思います。FPとは、何かと悪いニュースが多い金融業界と不動産業界に対するアンチテーゼなのです。

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FP独立開業

独立系FPとして働くうえで感じる7つの課題

今回はFPのなかまから執筆依頼をして某大手独立系FP会社のYさんに独立系FPとして働くうえで感じる課題について執筆頂きました。FP業界の現場を少しでも垣間見る事が出来ると幸いです。
[box03 title=”こんな人に読んで欲しい”]・これからFP業界に転職を考えている人
・FPとして独立を考えている人
・1社専属の保険営業の方[/box03]

みなさんはじめまして独立系FP会社に勤務しているYと申します。今回は生命保険FPからから独立系FP会社に転職し、働いていて感じる日々の矛盾や葛藤についてお話します。基本的にはお客様のためにより中立的な立場であることに違いはないのですが、その中でもやはり思う部分はあります。それを7つに分けてお伝えできればと思います。

筆者の紹介

はじめに、筆者の立場を明らかにしておきたいと思います。独立系FPといっても世の中には4つのタイプが存在します。フィーオンリー、フィーベース、コミッションベース、コミッションオンリーです。それぞれの説明はほかの機会に譲るとして筆者はコミッションベースという立場で働いております。そのなかで感じる7つの課題についてひとつひとつ解説していきたいと思います。

1.ライフプランニングに対するフィー相場の低さ

FPとしてお客様にコンサルティングを提供するうえで、筆者が軸にしていることはライフプランニングです。ライフプランニングとは将来のお金の収支を分析し、足らなくなるなどの課題があるのかないのかを分析し、解決していく行為です。まずはライフプランニングのステップをご説明いたします。

・初回ヒアリング
・2回目現状と課題の共有
・3回目に改善策の提案

上記のステップで1.5時間×3回は最低でも行う事が一般的です。
そして1回目から2回目の間と、2回目から3回目の間に合計で5~10時間の準備時間を要します。

ライフプランニングの報酬

これに対し、世間のライフプランニングに対する報酬はどのくらいかと申しますと、一般的に30,000円と言われています。つまり準備に5時間しかかからなかったとしても時給は3,000円程度になります。ここから毎回の移動にかかるコスト、店舗賃料、消耗品費、事務スタッフの人件費などを引いていくと本当に手残りは高校生のアルバイト程度になってしまうでしょう。しかも問題はその30,000円に関しても価値が世間に浸透しきっていないので、高いと感じてしまう方が多いようです。ライフプランニングに30,000円払おう、と自発的に思う方は現状ですとごくわずかです。そこで、より多くの方にFP相談の価値をわかっていただきたいという思いで実際は30,000円よりもずっと低い金額設定でご相談を受けていたりするのが筆者の現実です。

2.世間の認知度

世間に浸透していないと上段で書きましたが、例えば結婚するから新居を探そう、という不動産屋さんに行く行為はごく当たり前の行為で、そのニーズは顕在化されています。ところが結婚するからまずFP相談しよう、というのはおそらく10人いらっしゃったら思いつくのは1人いるかいないかではないでしょうか。そのくらいの認知度の違いがあって、そもそもマーケットが十分に育ってきていないというのが課題です。

3.絶対的な信頼が足りない

FPとはお金という分野の医師だと思います。現状をお客さんに伝え、そこに課題(病気)があれば、解決策(薬)を提供するのが職務だと思っております。ただここで問題なのは、お医者さんが処方した薬は何の抵抗もなく飲むのに、FPが提示した解決策は、まず疑ってかかる、そしてほかのFPにも相談してみる、最後には自ら薬局に行って間違った薬を買ってしまう、といった現象がよく起きます。これはFPという仕事自体の権威が足りないことが大きな問題だと思っております。

4.中立的で顧客本位な提案をしようと思えば思うほど収益が逓減する仕組み

世の中には本当にたくさんの金融商品がありますが、真にお客様のことを思うのであれば販売手数料がなく、ランニングコストも低い、運用実績もすばらしい商品をお勧めしたいところです。ただその場合、FPというのは慈善団体ではなく売り上げをあげて利益を生んでいく「会社」ですので、どうしても販売手数料のない商品をご案内する場合は高額なコンサルティングフィーをお客様にお支払いいただかなくてはならないのです。国民の健全な金融教育のために国から補助金でも出ない限りはこの葛藤は続いていくことでしょう。

5.5年先10年先に我々の仕事がどうなっているかの予測が立たない。収入のめども立たない

FPビジネスとはそもそもこれからの日本の金融業界の在り方によって存在意義が大きく左右されていく職業だと思います。お客様への手数料開示義務、販売手数料の縮小化、AIの台頭と厳しいニュースが多くあります。大手資本による参入がこぞってされる中、どう生き残っていくのかということは大きな課題であり、先が見えづらい部分でもあります。

6.集客が難しい

FPとは路上に看板を掲げるだけではお客様はほぼ来ません。飲食店さんやお洋服屋さんのようにニーズが顕在化されていないからです。潜在的なニーズをどう喚起し、お客様に来ていただくかが非常に難しい職業だと思います。ネットを使ってホームページをよくしてみたり、協力会社さんに紹介してもらったりと方法は様々ありますが、どれもある程度のベース(知識や人脈)がないと難しいというのがFPビジネスの現状です。

7.教育が難しい。そもそも難易度の高い仕事であり、すぐにやめる人が多い

FPはお金にかかわる幅広い知識とお客様にわかりやすく伝える技術、集客や売り上げを考えられる商売人の気質がすべて必要な仕事だと思います。何かに特化したスペシャリストではなく、すべてを網羅するゼネラリストだからこその大変さはかなり感じています。実際に、思ったより大変だった、とか大変なわりに稼げなかった、という理由で職場を離れていった仲間も少なからずいます。

さいごに

このように様々な課題を感じるFPビジネスですが、根本的には社会にとって求められている職業だと認識しています。金融リテラシーの高い方もそうでない方も、これって誰に相談したらよいのだろうというお金にまつわる込み入った相談事って誰しも持っているはずなのです。親兄弟、友人には相談できないことを親身になって聞いてくれる、人生の良きアドバイザーです。独立系FPが広く社会に認知され、一人でも多くの人がお金とうまく付き合っていける世の中になることを祈り、今日も活動します。この記事を読んで少しでもFPに転職・起業を考えて頂けると筆者は嬉しいです。最後までお読みいただき有難うございました!