カテゴリー
FP独立開業

独立系FPとして働くうえで感じる7つの課題

今回はFPのなかまから執筆依頼をして某大手独立系FP会社のYさんに独立系FPとして働くうえで感じる課題について執筆頂きました。FP業界の現場を少しでも垣間見る事が出来ると幸いです。
[box03 title=”こんな人に読んで欲しい”]・これからFP業界に転職を考えている人
・FPとして独立を考えている人
・1社専属の保険営業の方[/box03]

みなさんはじめまして独立系FP会社に勤務しているYと申します。今回は生命保険FPからから独立系FP会社に転職し、働いていて感じる日々の矛盾や葛藤についてお話します。基本的にはお客様のためにより中立的な立場であることに違いはないのですが、その中でもやはり思う部分はあります。それを7つに分けてお伝えできればと思います。

筆者の紹介

はじめに、筆者の立場を明らかにしておきたいと思います。独立系FPといっても世の中には4つのタイプが存在します。フィーオンリー、フィーベース、コミッションベース、コミッションオンリーです。それぞれの説明はほかの機会に譲るとして筆者はコミッションベースという立場で働いております。そのなかで感じる7つの課題についてひとつひとつ解説していきたいと思います。

1.ライフプランニングに対するフィー相場の低さ

FPとしてお客様にコンサルティングを提供するうえで、筆者が軸にしていることはライフプランニングです。ライフプランニングとは将来のお金の収支を分析し、足らなくなるなどの課題があるのかないのかを分析し、解決していく行為です。まずはライフプランニングのステップをご説明いたします。

・初回ヒアリング
・2回目現状と課題の共有
・3回目に改善策の提案

上記のステップで1.5時間×3回は最低でも行う事が一般的です。
そして1回目から2回目の間と、2回目から3回目の間に合計で5~10時間の準備時間を要します。

ライフプランニングの報酬

これに対し、世間のライフプランニングに対する報酬はどのくらいかと申しますと、一般的に30,000円と言われています。つまり準備に5時間しかかからなかったとしても時給は3,000円程度になります。ここから毎回の移動にかかるコスト、店舗賃料、消耗品費、事務スタッフの人件費などを引いていくと本当に手残りは高校生のアルバイト程度になってしまうでしょう。しかも問題はその30,000円に関しても価値が世間に浸透しきっていないので、高いと感じてしまう方が多いようです。ライフプランニングに30,000円払おう、と自発的に思う方は現状ですとごくわずかです。そこで、より多くの方にFP相談の価値をわかっていただきたいという思いで実際は30,000円よりもずっと低い金額設定でご相談を受けていたりするのが筆者の現実です。

2.世間の認知度

世間に浸透していないと上段で書きましたが、例えば結婚するから新居を探そう、という不動産屋さんに行く行為はごく当たり前の行為で、そのニーズは顕在化されています。ところが結婚するからまずFP相談しよう、というのはおそらく10人いらっしゃったら思いつくのは1人いるかいないかではないでしょうか。そのくらいの認知度の違いがあって、そもそもマーケットが十分に育ってきていないというのが課題です。

3.絶対的な信頼が足りない

FPとはお金という分野の医師だと思います。現状をお客さんに伝え、そこに課題(病気)があれば、解決策(薬)を提供するのが職務だと思っております。ただここで問題なのは、お医者さんが処方した薬は何の抵抗もなく飲むのに、FPが提示した解決策は、まず疑ってかかる、そしてほかのFPにも相談してみる、最後には自ら薬局に行って間違った薬を買ってしまう、といった現象がよく起きます。これはFPという仕事自体の権威が足りないことが大きな問題だと思っております。

4.中立的で顧客本位な提案をしようと思えば思うほど収益が逓減する仕組み

世の中には本当にたくさんの金融商品がありますが、真にお客様のことを思うのであれば販売手数料がなく、ランニングコストも低い、運用実績もすばらしい商品をお勧めしたいところです。ただその場合、FPというのは慈善団体ではなく売り上げをあげて利益を生んでいく「会社」ですので、どうしても販売手数料のない商品をご案内する場合は高額なコンサルティングフィーをお客様にお支払いいただかなくてはならないのです。国民の健全な金融教育のために国から補助金でも出ない限りはこの葛藤は続いていくことでしょう。

5.5年先10年先に我々の仕事がどうなっているかの予測が立たない。収入のめども立たない

FPビジネスとはそもそもこれからの日本の金融業界の在り方によって存在意義が大きく左右されていく職業だと思います。お客様への手数料開示義務、販売手数料の縮小化、AIの台頭と厳しいニュースが多くあります。大手資本による参入がこぞってされる中、どう生き残っていくのかということは大きな課題であり、先が見えづらい部分でもあります。

6.集客が難しい

FPとは路上に看板を掲げるだけではお客様はほぼ来ません。飲食店さんやお洋服屋さんのようにニーズが顕在化されていないからです。潜在的なニーズをどう喚起し、お客様に来ていただくかが非常に難しい職業だと思います。ネットを使ってホームページをよくしてみたり、協力会社さんに紹介してもらったりと方法は様々ありますが、どれもある程度のベース(知識や人脈)がないと難しいというのがFPビジネスの現状です。

7.教育が難しい。そもそも難易度の高い仕事であり、すぐにやめる人が多い

FPはお金にかかわる幅広い知識とお客様にわかりやすく伝える技術、集客や売り上げを考えられる商売人の気質がすべて必要な仕事だと思います。何かに特化したスペシャリストではなく、すべてを網羅するゼネラリストだからこその大変さはかなり感じています。実際に、思ったより大変だった、とか大変なわりに稼げなかった、という理由で職場を離れていった仲間も少なからずいます。

さいごに

このように様々な課題を感じるFPビジネスですが、根本的には社会にとって求められている職業だと認識しています。金融リテラシーの高い方もそうでない方も、これって誰に相談したらよいのだろうというお金にまつわる込み入った相談事って誰しも持っているはずなのです。親兄弟、友人には相談できないことを親身になって聞いてくれる、人生の良きアドバイザーです。独立系FPが広く社会に認知され、一人でも多くの人がお金とうまく付き合っていける世の中になることを祈り、今日も活動します。この記事を読んで少しでもFPに転職・起業を考えて頂けると筆者は嬉しいです。最後までお読みいただき有難うございました!



作成者: 独立系FP モーリー

都内の独立系FP会社で勤務しています。趣味はドライブ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です