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不動産投資

FPとして知っておきたいサブリースとは?

そもそもサブリースとは?

すでにオーナーになっている人や投資不動産の業界にいる方は当たり前に使っているサブリースという言葉ですが、一般の方にはなじみがあまりない言葉だと思います。
Wikipediaで調べるとこのような説明がでてきます。

サブリース(sublease)とは又貸し、転貸のことである。不動産賃貸においては転貸を目的とした一括借上(いっかつかりあげ)のことをサブリースと言うことが多い。規正法がなく(国土交通省が主導する任意の登録制度はある。後述参照)。2010年代前半から、ローンの不正契約や訴訟などが発生し社会問題となっている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

サブリース契約のトラブルは年々増加しております。僕のクライアントでも不動産会社とトラブルになっている現場を数多く見てきました。FPとしては、クライアントがトラブルに巻き込まれないようにサブリースについて理解しておくとより有益なアドバイスができる事でしょう。今回はサブリースと一般管理の違いを解説します。
またサブリースと一般管理どちらが良いかも解説していきたいと思います。

不動産管理の形態について

不動産管理契約を行う場合、大きく以下の2つの管理方式に分類されます。

・一般管理契約(集金管理)
・サブリース契約(借り上げ管理)

建物のメンテナンス管理や入居者の入れ替えなどのハード面の管理は大きく変わりません。決定的な違いは借主がサブリース会社で家賃保証を行う点です。

サブリースについて

サブリースを図にするとこんな感じです。

一般管理と違う点は借主がサブリース会社になっている事です。転貸借という形で管理会社が一般の入居者に貸し出します。
この場合管理手数料は10%前後+退去した際の免責期間1カ月などが発生します。この免責期間というのがクセモノです。
退去が発生すると1カ月は家賃が支払われないという事です。

一般管理について

一般管理を図にするとこんな感じです。

一般管理は、オーナーに変わって管理の代行を管理会社が行ってくれます。賃貸借契約はオーナーと入居者が直接行います。管理会社は家賃の集金はもちろんの事、入退去の手続きなど物件の管理に関する事はほとんどやってくれます。
管理手数料は3%~5%が相場ですね。オーナーは管理会社から入退去や修繕が必要な際に連絡がくるので、その対応をしておく程度です。

サブリースと一般管理どっちがいいの?

これは良くクライアントに相談されますが、結論から申し上げますとほとんどのケースでは一般管理を選択した方が良いでしょう。理由としてはサブリースは管理会社が儲かる仕組みになっているからです。またサブリース契約を行うと簡単に契約解除を行う事ができない点はデメリットが大きいです。

[chat face=”woman1″ name=”クライアント” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]賃貸経営は面倒だし、空室のリスクも取りたくない。だったら保証してくれるサブリース契約ってすごく良いんじゃないか?[/chat]

そう思う気持ちも分かります。
しかし、それは損したくないという感情での選択です。賃貸経営を行う上では合理的な判断が必要です。

僕ならこう回答します。

[chat face=”man2″ name=”FPのなかま” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=””]サブリースはオーナーにとってデメリットが多いので辞めておいた方が良いです。家賃保証という果実で見えずらくなっていますが、リスクは全て大家さん側にあります。事実サブリース会社は、サブリースによって相当な利益を得ています。また、サブリースは一生保証してくれるものではありません。運営状況が悪くなるとすぐに賃料の値下げや、サブリースの打ち切りを行ってきます。[/chat]

特に新築のサブリースは最悪です。空室のリスクが少ない10年間はサブリース会社が儲けを出します。そして築10年以降、空室リスクが高まると保障家賃の減額や家賃保証の打ち切りなどをこうなうケースがあります!
サブリースが無いと空室が心配なエリアであれば物件選択のエリアを考え直した方が良いです。サブリースに頼って物件を取得すると将来とてつもない苦労が待っていると思います。

サブリースは解約できない?

過去にクライアントからの相談でサブリースを解約させてもらえないという事例がありました。
それはどういう事かというと、サブリース会社が賃借人としての立場を主張してきたのです!
僕はとても驚きました。

流れはこうです。

[chat face=”man1″ name=”クライアント” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]サブリースを辞めて一般管理にしたいのですがどのような手続きをしたらいいですか?将来的に売却を考えています。[/chat]

[chat face=”man2″ name=”サブリース会社” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=””]それはできません。私たちは入居者ですので、正当な理由がない限りは解約する事ができません。売却の際は弊社でその物件を買い取りもしくは仲介をするならサブリースを外しても良いでしょう![/chat]

えっ!て感じですよね。
サブリースはあくまでも管理の契約という認識ですが、相手方の不動産会社は自分たちは入所者であるという主張をしているのです。また契約書にある文言で対抗をしてきました。
[box04 title=”契約書の文言”](契約期間および更新)甲(オーナー)は、正当の事由が認められる場合、本契約期間満了の6カ月前までに、乙(管理会社)に対し本契約の更新をしない旨を通知する事で、契約期間の満了をもって本契約を終了する事ができる。[/box04]

どこが問題かわかりますか?
そうです、正当な事由がポイントなのです。正当な事由って何?と思いますよね。

何が正当事由となるかは、裁判での判断に委ねられていて、多数の判例があるが、規定の趣旨に照らせば、借地・借家人に有利になる傾向があるのは当然である。判例を受けて、現在の借地借家法では、正当事由は、貸主・借主が土地・建物の使用を必要とする事情、賃貸借に関する従前の経緯、土地・建物の利用状況、立退料の提供などを考慮して判断するとしている。
出典:(株)不動産流通研究所

正当事由は裁判事例で様々で一概に決められるものではないようです。代表的な例でいうと建物の老朽化が進んで倒壊の恐れがあるので退去してもらう必要がある場合などです。それ以外は借家人の権利が非常に強い傾向があります。
なので正当事由という文言があるとオーナー側は非常に不利になってしまうという事です。サブリース契約の際はこの文言が入っているかどうかチェックする事が重要です。

まとめ

いかがでしたか?サブリース契約のトラブルは今後も増加する事が予想されます。家賃を保証してくれるから安心という安易な発想でサブリース契約をするのは危険です。FPとしては、一般管理とサブリースの違いを認識しておくとよりクライアントに対して説得力のあるアドバイスができると思います。少しでもみなさんの有益なアドバイスのお役に立てると幸いです。

作成者: FPのなかま編集部

FPのなかま運営者の前田と申します。

都内にあるFP会社を運営しています。 現在5人の仲間たちとわいわい仕事に打ち込んでます。
保有資格

国家資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅建士、管理業務主任者、貸金業務取扱主任者

公的資格:賃貸不動産経営管理士

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