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FP独立開業

証券会社の営業マンとファイナンシャルプランナーの3つの違い

証券会社の営業マンもFPも同じでしょ?」あなたはこの問いにどう答えるでしょうか。私は過去、証券会社の営業マン(以下証券マン)として働いていました。私の経験を元に証券マンとFPの3つの違いをお話させて頂きます。

証券マンの主眼は「自分」、FPの主眼は「顧客」

言うまでもないことですが、証券マンは厳しい営業ノルマに追われています。
また証券会社は社内での立場や昇進についても、営業成績がものをいう世界です。
いつも営業成績で人に比較され続けているのが、証券マンの置かれている状況です。
オンリーワンより、ナンバーワンを目指さなければならない世界です。

私が証券会社で働いていた頃は、営業成績振るわない部下を卑劣な言葉で罵倒する管理職も少なくありませんでした。コーチングとは程遠いと感じていました。

そのようなストレスの高い職場にいると、当然のことながら人は自分を守ろうとします。

証券マンが自分を守る方法は1つです。「営業成績を上げること」です。

本当に追い詰められた証券マンは、物事の善悪はさておき、とにかく自分の身を守るためにお客様に必死に商品を勧誘します。
これが、私が証券マンの主眼は「自分」である、と述べる理由です。

一方、FPが主眼を置くのは「顧客」です。
FPの仕事は、お客様の人生がお金を理由に狂ってしまわないようにお守りすることです。
投資商品を販売するFPも、保険や住宅を販売するFPも、提供するサービスが異なるだけで、主眼はお客様の人生を守ることで共通しています。金融商品の販売しか考えていないFP
は、営業マンではありますが、FPと呼べるものではありません。

例えば、投資可能金額が1,000万円のお客様が、「インドが良いと聞いたからインド株ファンドに1,000万円投資したい。」と相談に来られた場合、証券マンなら喜んで契約書を出すでしょう。「棚ぼた」で営業成績が上がるわけですから躊躇する必要はありません。
一方、FPはこういったケースの時に、買うタイミングを分けた方が良いことや、もう少しリスクの低い投資対象もあることを提示します。仮に、1,000万円の契約が、300万円の契約になってしまっても、お客様を守ることに主眼を置きます。そのような誠意のある提案はお客様の心に届きます。

証券マンの主眼は「今」、FPの主眼は「未来」

先述した通り、証券マンはノルマと競争に追われています。
それに加えて総合職の営業マンには、「転勤」も追いかけてきます。
多くの総合職の証券マンには3〜5年で転勤の辞令が下ります。
今いる支店での営業成績は、次の支店での立場に影響します。
つまり、多くの総合職の証券マンは、3〜5年という短い期間の間に、営業成績で一花咲かせなければならないというわけです。お客様に対し、「3〜5年をかけてじっくりポートフォリオを構築していきましょう。」と言って細かい金額での取引をご案内している余裕はなく、今見えている資産額に対し、めいっぱいの金額の提案をしてしまうのです。ある日突然言い渡される転勤のプレッシャーが、証券マンの価値観を「今」に向けさせるのです。

一方、FPの主眼は「未来」です。FPの仕事はお客様の人生設計を手助けすることです。
投資に不慣れなお客様、判断力や経験、知識が乏しいお客様には、投資金額を少額にし、少しずつ理解を深めて頂く方法をご案内するケースもあります。「今」に主眼を置き、金融商品を契約することばかり考えるのではなく、「未来」にお客様がご自身で納得した資産ポートフォリを構築できるように、自立に向けて一歩一歩サポートすることがFPの仕事です。

証券マンのコミュニケーションは「駆け引き」、FPのコミュニケーションは「傾聴」

ここまで述べてきたように、証券マンは金融商品を売り込まなければならないという使命を背負っています。この強迫観念は、証券マンの「お客様と駆け引きする力」を磨き上げます。
私の経験上、突然お客様のお宅に訪問し、商品の話を「立て板に水」で話す営業マンはあまり成績が良くないと思います。お客様との距離感の取り方が上手ではなく、それでは誰も商品を買ってくれません。
凄腕の営業マンは、お客様から雑談を引き出し、気持ちよくお話を頂いた後、タイミングをみて営業トークを開始します。それも短く端的に。それだけで、商品を売りきってしまうのです。
証券マンはお客様との心理戦に勝つ売り込みのプロと言えます。
一方、FPは、お客様を駆け引きの相手と見るのではなく、お客様の味方に立とうとします。お客様とのコミュニケーションは、お客様の問題点の発見のために費やします。問題点が洗い出されないと、解決策の提案ができないからです。病院で、検査をしないと治療法を診断できないことと同じです。
もし、コミュニケーションの中で、お客様のお悩みが明確になり、自社がその解決策としての商品を扱っていれば、お客様と駆け引きをしなくても自然と商品は契約になります。

さいごに

ここまで述べてきた通り、証券マンの思考は、ノルマと競争の世界の中で、すぐに売り込むことを主軸に構築されています。

一方、FPの思考は、お客様の味方となりお客様の利益を追求することを主軸に構成されています。

証券マンの「売らなければならない。」というプレッシャーと、FPの「お客様の役に立ち感謝されなければならない。」というプレッシャー。どちらが自分の成長に繋がるでしょうか。
私は、後者だと考えています。
お金の教育塾 FP君