ファイナンシャルプランナーは、マネープランを中心に、様々な相談に乗ることがあります。家計に関わる相談、事業全体に関わる相談と、内容も規模も様々ですが、それらで共通するのは「顧客が安心して相談ができる環境づくり」だと考えます。
今回は、FP2級と同時に、キャリアコンサルタント資格を持つ私から、資格を併用することで得られる相乗効果を紹介したいと思います。
キャリアコンサルタントとは?
キャリアコンサルタント、と聞くと、ハローワークの職員さんや人材エージェント、人によっては心理カウンセラーのような方をイメージするかもしれません。
厚生労働省の定義によると、キャリアコンサルタントとは「本人の興味・適性の明確化職業生活の振り返り(どんな能力があって、何が課題なのかの確認)を通じて職業生活設計を支援し、職業選択や能力開発の自信・意欲の向上、自己決定を促す支援を行う者」とのことです。
(厚生労働省 職業安定分科会雇用保険部会による)
つまりキャリアコンサルタントとは、ずばり「職業を糸口に、これからどうしていけばよいかを見つけてあげる」役割だと考えます。この点FPは、お金を糸口に支援していきますが、どちらをメインフィールドにするかの違いであると考えています。
国家資格化した背景は、国内労働力の減少や、働き方改革に象徴されるようなキャリア形成の在り方を考えるという一連の流れに紐づくものです。
しかし、現代社会において「働く」ということが、お金を稼ぐ・貯める手法の最たるものであることから、FPにとっても役立つ資格だといえます。
それではキャリアコンサルタントはどういうことを勉強し、それがどうFPに役立つのか。
それをひとつずつ見ていきましょう。
[box05 title=”キャリアコンサルタント試験範囲”]・キャリアコンサルティングの社会的意義
・キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
(キャリア理論、カウンセリング理論、労働関係法令及び社会保障制度の知識、など)
・キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
(相談場面の設定、自己理解・仕事理解の支援 など)
・キャリアコンサルタントの倫理と行動
<(厚生労働省から抜粋)>[/box05]
労働市場やキャリア形成に強いFPになれる
キャリアコンサルタント資格を取ることのメリットは、やはりその名の通り「キャリア」のプロとして、労働市場や今後のキャリア形成について的確なアドバイスができることにあります。
職業選択をアドバイスするに際し、現状の転職市場がどのようになっているか、平均賃金がいくらか、その職位だとどれほどの報酬がもらえそうかがわかると、今後のマネープランをより具体性をもって組み立てることができます。
例えば、現状の仕事内容が自分に適したものだと思えず、未経験業種にチャレンジをしようと考えるとき。若年者であればポテンシャルベースでその職にたどり着けることもできるのですが、年齢を重ねれば重ねるほど、難しくなってしまうのが現状です。そうしたときに、例えば正社員登用でなければならないか、派遣社員としての就業ではどうかなど、雇用形態の変更を検討することや、現職で異動をすることができないかを考えることが有用です。
また、労働基準法をはじめとした各種法令についても学びます。社会保険労務士ほど詳しく、ではないですが、情報提供で大事なポイントとなる概要はしっかりと学習します。
例えば休職された方が居たとして、その時の傷病手当等のサポートを的確にアドバイスできますし、会社の支援が適切妥当なものなのか、あるいはそうでないのかを判断することもできます。
また、メンタル不調のサインを見逃さずに、相談者に寄り添うこともできます。
体系的な相談技法を学べるので、奥行きのあるヒアリングができる
キャリアコンサルティングでは、職業選択を通じ相談者の自己決定を目的としています。そのためには、相談者が何を考え、どうしたいと考えているかをしっかりと知る必要があります。できる限りの情報を抽出することと、その情報が正しいのか、あるいは本当なのかということも見抜く力が必要になります。
あまり本音を話さない方や、初対面の人とコミュニケーションをとるのが苦手な方など、いろいろな人からも、相談を受けることがあり得ます。そうしたときに心理学的なアプローチでどのように話を引き出すか、ということを学びます。
また、面談の進め方も、体系的に組み立てられています。まずは何を聞くべきか、どの引き出しを開けるべきかということも端的に示してくれます。
さいごに ~付加価値をつけて、顧客に安心感を与える~
キャリアコンサルタントは、ただ単に職業選択を手助けするだけではありません。相談を軸にするあらゆる業種の方に役立つ資格だということがわかったのではないでしょうか。
もし興味・関心を持ったら、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。